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Diary #5

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焔の月 6日目
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紅枝の月 37日

今年もソゥ様がおもどりになられるきせつがやって来ました。
ソゥ様がおつれになったタマルたちの中には、
アイゼンパルヴァーの出身者がいると、イラムス様がこっそりと教えて下さいました。
わたしがタイルニスに来たのは、もう四年も前のことです。
シュタフォーレンはもう*** *** ***

わたしがライキャパックになるにはあと六年ひつようです。
*** *** *** *** *** ***

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「Trick or Treat !」

今日の野営の場所を決めた後のことだった。
ふさふさの耳と手と尻尾を付けたレミィは、
アンジェリエルに背後から忍び足で近づき、おどけた調子で声をかけた。
驚き振り返ったアンジェリエルは不思議そうな顔をしている。

「…レミィさん?その格好は…」
「NoNo!リエルちゃん、もっと驚いてくだサーイ!Trick…悪戯のし甲斐がありまセーン」
「トリック?」
「Oh?今日はHalloweenデスヨ!…Halloween知らないデスカ?」

今度は逆にレミィが不思議そうな顔をしている。

レミィはオレンジ色のカボチャを手に持ちアンジェリエルに説明を始めた。
ハロウィンとはカボチャで作ったランタンを飾り、
仮装をして街を練り歩いては「Trick or Treat !」と声をかけてお菓子を貰うイベントのこと。
元は秋の収穫を祝うお祭らしいこと。

「レミィの国ではとってもPopularなFestival!大人も子供も皆大好きデス!」
「面白い収穫祭ですね。レミィさんの仮装は…狼ですか?」
「Yes!さ、リエルちゃんはTrickとTreat、どっちをchoiceしますカ?」

満面の笑みの中に悪戯な顔をしたレミィがアンジェリエルににじり寄る。
アンジェリエルはその仕草に微笑みながら、あることに気がつく。

「…! ごめんなさい、レミィさん。私は今何も持っていないので…また後で……」
「Oh la la!狼なレミィは待てまセーン!Treatが無いなら仕方ないですネ」
「レミィさん? きゃっ ちょっと待って…    …!?」

夕闇迫る森の木々から鳥たちが飛び立つ。
深い森の中でアンジェリエルの悲鳴がこだました。


          *          *          *   


「酷い目に遭ってしまいました…」

(でもお祭なら私も皆さんにお菓子を振る舞いたいな…)

「…」
「アオさんに頼んでみましょう」


          *          *          *          


「は?」

少年は片方の眉を歪ませてアンジェリエルの言葉に、心底疑う様な目で返した。

「嫌だね、何で僕が君に」
「アオさんは料理がお上手ですから。私、料理もお菓子作りもしたことがなくて…」

アンジェリエルはいつも独創的な料理を振舞ってくれている青に、
ハロウィン用のお菓子作りについて相談を持ちかけた。
出来れば手伝って欲しいともお願いをしたが、しかし予想通り青は首を縦に振らない。

「煽てても無駄だよ。さっさとあっち行ってくれない?邪魔なんだよね」
「…」

アンジェリエルから青に話しかけるのは、これがほぼ初めてのことだった。
というのも青はいつも、今のようにつっけんどんな態度を崩そうとせず、
むしろ興味を抱いた分だけ距離を開けている様だった。
年の近い男子と交流を持ったことの無いアンジェリエルにとっては、
パーティーの中で一番どう接すれば良いのか分からない相手でもあった。
これをきかっけに、少しでも話しかけやすくなったら良い。
そう淡い期待を抱いていたアンジェリエルだったが、どうやら脆くも砕かれた様だ。

取り付く島もない青の横にあった丸い物体が動いた。
青のリンクスであるチェシャがその三日月の笑顔を開く。
それを見た青は嫌な予感でもしたのだろうか、眉を一層ひそませた。

「何だよチェシャ……はぁ?」

チェシャはいつもの様に声を出さないで薄笑っている。

「……ああもう!解ったよ、道具だけ貸すよ」
「本当ですか?」
「嘘      って言ったらどうするつもり?今回だけだからな、壊すなよ」
「はい!ありがとうございます」


          *          *          *          


お菓子作りに最低限必要な物だと青から貸してもらったのは、
大小二つのボールと木べらと、皿。
材料も小麦粉だけ分けてもらった。
しかしアンジェリエルは作り方を知らない。
記憶を手繰り寄せ、母親がパンを作っていたことを思い出しアレンジするしかなかった。

「小麦粉に液体を入れてたはず…液体…水、で良いのかな」

アンジェリエルは左手を掌が上になるよう自身の双眸の前に伸ばす。
その手をゆっくりと手の甲を視界にいれるように捻り右に傾け、また最初の位置に掌を返す。
掌には、そこに入りきるくらいの水が揺れていた。
術として有効な規模の水を発現させるには舞を踊らなければならなかったが、
これくらいなら手の動きのみで出来ることが分かり、少し安堵する。
それを何度も、大きい方のボウルに入れた小麦粉が柔らかくなるまで繰り返す。

「次は…お菓子だから甘くないといけないですね」

アンジェリエルは砂糖も分けてもらえばよかったと、後悔した。
だがこれ以上青の邪魔をしては悪いだろう。
甘味がつけば良い、そう考えたアンジェリエルは荷物の中から
スティルフで貰った良く分からない果実の中からオレンジを取り出すと、
手持ちのナイフで器用にくし型に切り、一つ一つを搾り小さなボウルに果汁を集めた。
それから小さなボウルの上に両手を翳す。
下から救い上げ包み込むように柔らかく手を動かすと、ボウルは小さな音を立てて揺れた。
それを続けていくうちに、ボウルの中の液体は
すっかり水気を抜かれ粉末に近い物になっていた。

「これでよしっ と」

アンジェリエルは小さくガッツポーズを作ると、小さいボウルの物を小麦粉へ移し混ぜた。
出来上がった練り物を適当な大きさに形を整え、皿に並べていく。

「後は乾かすだけね」

アンジェリエルはオレンジにした時と同じ動作を皿に並べられた物に行った。
小さくなった練り物は徐々にその表面を乾燥させていく。
色は小麦粉の色から代わり映えはしていないが、見た目はいかにもそれらしい。
初めてのお菓子作りだったが、その見た目にアンジェリエルは満足した。

しかし、やはり味に不安はある。
皆に振舞う前に誰かに―
そう考えた時に一人の顔がアンジェリエルの目の前に浮かんだ。

「味見を、してもらえるでしょうか」

アンジェリエルは皿を手に取ると、意を決した様に歩き出した。

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Special Thanks.
ENo.613 レミィ・K・イレヴン
ENo.81 鐘辻青
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